沼田高校所蔵「猿ヶ京関之図」の複製作成について
猿ヶ京活性化委員会歴史部会
三国街道は江戸から日本海に出るのに最短の重要な街道であり、猿ヶ京関所は上越国境を固める幕府直轄の交通機関でありました。幕府崩壊後の関所廃止の際、番所や門等の建物は三国峠の警備に移築されましたが、関所の番人を代々務めた片野家の役宅と膨大な手形等の記録書類は残されました。現在の猿ヶ京関所資料館の建物はその現存している役宅を使用しています。ところが貴重な資料の数々は曲折の中で、全て散逸してしまいました。現在資料館に展示されている資料の殆どは他館所蔵の江戸時代の旅の道具等で占められています。当部会では沼田高校所蔵の資料の中に猿ヶ京関所の絵図があるとの情報のもと、昨年の4月に実物を拝見させて頂いたところ、建物の詳細な寸法まで記録された非常に貴重な絵図が二つある事が分かりました。このたび同高校校長林匡宏先生のご好意でこの絵図の複製を作成することが実現いたしました。絵図は文化十年(1813)、天保二年(1831)それぞれ作成のものをもとに昭和十一年(1936)に「翠峯」が「写」すとあり、当時の沼田中学校に寄贈するために作成された写本と考えられます。特に天保二年の絵図は翌年の大修築の前の関所の状態を表し、東側には門扉を持つ屋根付きの高麗門があり、西側には屋根と門扉のない冠木門があり、面番所は正面七間四尺(約13.8m)、幅二間半(約9.5m)の小規模な建物であったことが分かりました。
今後この絵図は同資料館で展示し、地元住民に見て頂くとともに今後の猿ヶ京の活性化に役立てて行きたいと思っています。最後に絵図の複製にご協力いただきましたみなかみ町観光商工課、総合戦略課、教育委員会、その他各位に心より感謝を申し上げます。
よみがえる猿ケ京関所 絵図のレプリカ完成 まつりも みなかみ
[2018/11/26]
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/culture/95002